トラックによる貨物輸送量は年々増加しています。2019年度の宅配便取扱数は43億2349万個で前年度と比べ1.0%(1647万個)増加しました。そのうちトラック運送は99.8%を占めました。また、ヤマト運輸の20年度の宅配便取扱個数は同16.5%増の20億9699万3625個で過去最高を記録しました。コロナ禍による巣ごもりでEC(電子商取引)市場の利用に拍車がかかったためです。
一方で、物流業界ではドライバー不足が常態化しています。トラック輸送では荷主の指定時間に荷物を届けるという苦労があります。さらに移動距離が長い長距離ドライバーは、勤務時間が長くなりがちなため、若者が職選びで敬遠するケースが散見されます。
トラック1台当たりの積載率の低下も問題となりました。以前は商品の種類が少なく、同じ様な形状のものを整然と積み重ねられるため、効率的に荷物を運べました。しかし、このところはEC需要の拡大でさまざまな荷姿の商品を運ぶ必要が生じ、積み荷のすき間が増えロスが大きくなりました。配達先が要望する到着日を優先して、荷物が満載になる前に配達していることも効率低下の原因の一つです。
このような状況を打破する施策として期待されるのが「ロジスティクス4.0」という考え方です。ITやIoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)を活用して、これまで人手に頼っていた業務を自動運転、無人搬送機(AGV)、コンピューターなどに代行させて、省力化を図るものです。例えば、トラックの積み荷の量をセンサーで自動計測し、荷室に空きのあるトラックを減らす仕組みづくりが進んでいます。
さらに、電子連結技術によって複数のトラックを一つのグループにまとめ、先頭の有人運転のトラックの後を数台の無人トラックが自動運転で追従する制御「隊列走行」も人手不足の解消につながることが期待されています。
AIを活用して配送ルートを自動的に最適化する取り組みも広がりつつあります。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)5月28日号より