自動車を使いたい時に借りて利用する「カーシェアリング」の市場が徐々に拡大しています。交通エコロジー・モビリティ財団の調査によると、カーシェアの利用登録者数は2020年3月末で約204万7千人となり前年同月と比べ25%増加しました。5年前の15年と比べると3倍に膨らんでいます。
「自分で所有しないで使いたい時に借りる」という社会的な価値観の変化が自動車でも起こり、カーシェアやレンタカーがその需要の受け皿になりました。カーシェアはコロナ禍によって一時的に利用数が大きく落ち込みましたが、会員数が増え続けるなど、着実に浸透しています。
近年はカーシェア専門企業だけでなく、自動車メーカーや系列ディーラー、石油元売りなどの新規参入が続いています。また月額料金で何度でも借りられたり、片道利用が可能なサービスが登場するなど、サービスのさらなる多様化が注目されます。
不特定多数に利用されることなく、自分で「所有」するのと同じような感覚で車を借りて使えるサービスの人気が出てきました。その一つがサブスクリプション(定額利用)型のサービスです。従来は現金やローンによって自動車を購入する人がほとんどでしたが、サブスクでは後々の整備費用などを気にせず一定の月額料金で利用できるといった利便性が支持を得て個人利用者が増えました。
法人で多いリース契約と似ていますが、サブスクでは一般的なリースよりも希望に応じた乗り換えに柔軟に対応できる仕組みを作るなど、関連各社は新たな需要を取り込むため試行錯誤しながらサービスを競っています。複数車両をまとめて加入し保険料を抑えるフリート保険を使って、個人加入では自動車保険が割高な若者にも利用しやすくしたプランもあります。
新車サブスクにはトヨタ自動車の「KINTO(キント)」、日産自動車「クリックモビ」、ホンダ「楽らくまるごとプラン」などがあります。ホンダ、スバルは中古車を活用したサブスクも手掛けています。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)6月3日号より