リコール制度は、自動車の設計・製造段階で不具合が認められた場合に、メーカーが自主的に製品を回収して対策を行うものです。日本では、自動車の普及に伴い顕在化した「欠陥車問題」に対応するため、1969年にスタートしました。
現在は道路運送車両法で制度が規定されています。自動車メーカーはリコールが必要になった車両の製作期間、不具合が発生する可能性のある部位、原因、どのような改善措置を講じるのかを国土交通大臣に申告します。その上でユーザーに不具合の内容を通知して改善措置を行うことが義務付けられています。同様の制度は米国や欧州などでも導入されており、リコール制度が自動車の安全性の担保につながっています。
メーカーから届出のあったリコール情報は、国土交通省がホームページなどで発信しています。同省は自動車の不具合情報の収集・分析のために、ユーザーからの情報提供を受け付けています。電話やウェブのフォーマットを用意して、迅速に対応できる体制を整えました。
国土交通省の統計によると、2019年度のリコール届出件数は前年度比7件増の415件で、そのうち国産車は229件でした。対象台数は同28.2%増の約1053万台で、車種別に見ると乗用車が全体の85.6%、貨物車が11.5%でした。エアバッグの大規模リコールが増加要因となりました。電気自動車(EV)やハイブリッド(HV)でも、原動機や電気装置などの不具合を原因とする届出があり、今後の普及拡大に伴い次世代車の届出割合の増加が予想されます。
04年には自動車の構造・装置に加えて「特定後付装置」がリコール制度の対象となりました。特定後付装置はユーザーが着脱できる物品で、普及率が高いタイヤとチャイルドシートが指定を受けました。その届け出は、自動車の製造段階で装着された装置については自動車メーカーが、購入後に取り付けられたものはその製造企業が行います。