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2023年度の中古車輸出、前年比24%増の159万7632台 仕向け地別はUAEが首位

2023年度の中古車輸出台数(車両価格20万円以上)は、前年比24.1%増の159万7632台だった。海外の中古車市場では、日本車の引き合いが依然として強い。円安基調が続いたことも輸出事業者にとって追い風となり、23年度はすべての月で前年実績を上回った。仕向け地別では23年8月の輸出規制の厳格化を受けてロシアが大幅に台数を落としたが、これ以外の国や地域でカバーした格好。後半には海上輸送の不安定化といった懸念要素もあったが、通期実績への目立った影響は生じなかったもようだ。

 日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA、佐藤博理事長)が公表した中古車輸出台数を基に、日刊自動車新聞が23年度実績を算出した。耐久性の高さや燃費の良さを理由に、日本の中古車は海外市場で人気が高い。さらに、為替相場が大きく円安に振れたことで、輸出拡大を後押しした。23年4月上旬は1㌦=130円台前半だったが、23年度末には150円台前半となった。日本の中古車の割安感が高まったことも、海外からの買い手を増やした一因とみられる。

ただ、23年まで3年連続で仕向け地別トップを維持していたロシアは、23年度実績ではアラブ首長国連邦(UAE)に首位を譲った。日本政府は昨夏、ロシアへの中古車輸出の規制範囲を拡大。これ以降、23年12月まで、前年実績の4~5割減で推移する状態が続いた。前半の貯金が暦年までは効いたものの、年度ベースでは効果がなくなった格好だ。

日本の中古車の海外需要は引き続き旺盛だ

また、昨秋に生じた紅海の情勢悪化によって、日本から輸出する中古車の海上輸送でも航路の変更や輸送費の高騰に迫られる事態が生じた。今のところ、この影響は限定的で、23年度中に中古車輸出を下振れさせるまでには至らなかった。

24年3月の中古車輸出台数は、前年同月比18.7%増の15万365台だった。前年超えは1年6カ月連続。「今後も現在の勢いが続く」とみる輸出事業者が多く、4月以降も堅調な伸びを維持しそうだ。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)5月9日号より