物心がついたころからクルマが大好きだった。技術にかかわる仕事がしたいと思い、中学時代には専門学校に進むことを決めていた。
実際の授業で整備を学ぶたびにクルマの奥深さを知った。ちょうど安全機能や環境性能が急速に進化しはじめたころだ。「いま知識を付けておかなければこれからの自動車についていけない」。4年制の自動車研究科に進み、できるだけ知識を得ようと勉強に励んだ。
学校で配線図ばかりを追いかけていた時、見学したスズキのサービス工場でエンジンを分解して組み直す光景を見た。「交換が当たり前だと思っていた作業を分解して組み上げる。スズキに行けばこうした仕事もさせてもらえると知り、気持ちが引き付けられました」。
入社3年目で検査員の資格を取り、現在はフロントマンとして活躍する。入社から10年を迎え、いまや成東店の中核を担う存在だ。「お客さまに満足してもらうことだけに集中しています」と話す平井さん。大切にしていることはお客さまに「分かりません」と言わないことだ。
「整備はもちろんですが、クルマの販売も含めてお客さまに聞かれたことにはきちんとお答えしたい。そのための商品知識や情報の収集を惜しまず心がけるようにしています」と話す。
お客さまへのそつのない対応は、一緒に仕事をしてきた上司から学んだものだ。「整備から販売、保険の知識まで、知らないことがないくらいのすごさに刺激を受けました」。「自分もそういう存在に近づければ」と静かに語る平井さん。控え目ながらも前を向く姿勢にぶれはないようだ。