相手の目を見ながらしっかりと話す姿に誠実さが伝わる。好感を持つお客さまも多いようで「褒めていただいた時は素直にうれしいですね」と、若者らしい笑顔を見せる。
自動車業界に関心はあったが、クルマの知識は全くなかった。自動車大学校に入学した当初は「まさに『オイル交換って何?』の世界から始まりました」と振り返る。「クルマの予備知識はありませんでしたが、これから仕事で使う知識を覚えることは楽しかった。知らない分、ひたすら吸収しようと思い、勉強することに充実感がありました」。
1年生の時に、スズキに勤める先輩2人のデモンストレーションを見た。車検と故障診断のそれぞれを、決められた時間内で手際よく、しかも正確にこなす姿に圧倒された。「整備のレベルの高さに驚きました。働くならここしかないと思いました」。
入社して3年。仕事にひと通りの自信はついたが、気を緩めるそぶりはない。「慣れてくると一人で解決できると思いがちです。でも実際は知らないことの方が多い。お客さまのためになる仕事をするには、まだ勉強が足りません」と冷静だ。
自分が担当する以外のクルマでも、入庫した全てのクルマの状態を積極的に把握するようにしている。1台でも多くの症状を知ることで、次の仕事につながる知見を広げたいためだ。
工場長をはじめとする周りの人たちに「本当に恵まれている」と感じている。だからこそ、もっと成長して工場長や先輩たちの負担を軽くしたいと思っている。「頼るばかりではなく頼られる存在に早くなりたい」。そうなる日はあまり遠くないのかも知れない。