拠点のメカニックを束ねるリーダーとして重責を担う宮島太さんと田原壮馬さんは、さらなる成長を期待され、埼玉トヨペットのモータースポーツチーム「グリーンブレイブ(GB)」が参戦する「スーパーGT」のレースメカニックに選ばれ、チームの一員として活躍している。
スーパーGTは、市販車をベースにしたレーシングカーで争う国内レースとして最高峰に位置する。コンマ1秒(0・1秒)の差が勝敗を分けるシビアな世界で、レース中に行われるピット作業(タイヤ交換、給油作業)にかかる時間が大きな影響を与える。タイヤを任されるレースメカニックには、通常の整備では考えられない精度とプレッシャーに耐える精神力
が必要となる。
レースメカニック2年目の宮島さんは「レースは常に緊張感と背中合わせで『絶対に(目標の時間内で作業を)終わらせる』という厳しい世界」と違いを挙げる。時間内に仕事を終わらせることへのこだわりが増し、技術と判断力、生産性がレベルアップした。宮島さんの上司は「彼がいるのといないのとでは大きく違うが、他のスタッフに自覚が芽生えた」と効果を上げる。
1年目の田原さんは、チームが一つになってマシンを走らせることを経験して責任感がより強くなり、準備と段取りの大切さを再認識した。万が一への備えと無駄なく効率よく作業する意識をより高く持つなど、成長し続けている。「プレッシャーがある分、上手くできた時の達成感も日ごろの業務では味わえない」と語る。田原さんの上司は「周囲がポジティブになる良い機会では」と捉えている。