クレアーレ(秋葉佑社長)は、アルファロメオとフィアット/アバルトを取り扱う東邦ホールディングス(同)傘下のグループ会社。工藤さんはここでイタリア車に精通したメカニックとしてめきめきと頭角を表している。
スーパーカー世代の父親に影響され、幼いころからラリーが好きだった。なかでも1970年代の世界ラリー選手権で圧倒的な強さを誇った「ランチア・ストラトス」に心を奪われた。1度火が点いたイタリア車への関心はその後も冷めることはなく、就職先も学校卒業と同じタイミングで設立されたクレアーレに迷うことなく決めた。
実際にメカニックとして触れたイタリア車は「驚き」だった。「同じ欧州車でもドイツ車などとは設計思想がまったく違います。電子化はされていてもクルマの構造自体はそう複雑ではなく、メカメカしい部分が残っているため整備をして楽しさがあります」と話す。
いまの目標はメーカーの認定制度である「TECマエストロ」の資格を取ること。アルファロメオ/フィアットのサービス認定資格は2段階あり、1段階目の「サーティファイドテクニシャン」はすでに取得済みだ。
いまはその上のTECマエストロになるべく研鑽を重ねている。「難易度が高いと聞いているので自信はありません」と笑うが、話していて伝わる人柄の良さと知識の豊富さは工藤さんの大きな強み。イタリア車をこよなく愛するマエストロとして、これからの成長が期待される逸材だ。