埼玉ダイハツ(田中英穂社長)の川越山田店に勤務する志村啓太係長と鶴ヶ島店に勤務する関村一斗さんは、昨年のダイハツサービス技術コンクールで地区予選を勝ち抜き、14チームが出場した全国大会で見事3位入賞を果たした。2人は埼玉ダイハツのサービス技術の高さを証明すると同時に、整備技術の向上こそが顧客の安全と安心につなげる上で重要との考えから、さらなる自己研鑽に励む。
失敗から逃げず次の成長につなげて
志村係長が埼玉ダイハツを選んだ決め手は「風通しの良さ」「車体整備に力を入れている」「採用と育成に一生懸命」だった。入社して15年目、日々の仕事に楽しさとやりがいを感じている。2年前、係長に昇進した将来を嘱望される逸材だ。
上司や先輩、後輩たちからの人望が厚く、川越山田店では一般整備から重整備までオールラウンドにこなす重要なポジションを担う。全国大会では使用過程で陥る可能性がある難易度の高い故障診断に直面したが、求められる「正確で速い修理」「(顧客への)分かりやすい説明」で実力を発揮した。
コンクールの出場までの半年間は、徹底的に勉強した。「メーター内のチェックランプが点灯」「エンジンがかからない」「エンジンの調子が悪い」「ライトが点灯しない」「エアコンの不調」などの故障探求にも重点を置いた。その結果、めったに発生しない不具合や電子制御への知識と理解度を深め、経験値を高めた。
反面、朝から晩まで整備のことばかり考えていたこともあり、メンタル面で心が折れたことがあった。そんな時、「指導してくれた上司がしっかりとサポートしてくれた」に感謝し、自分が受けたメンタルサポートを後輩の育成に生かしている。ポイントは「分かりやすい伝え方」「例えは柔らかく」だ。
現在、国家1級整備士の資格取得を目標に掲げてさらなる飛躍を目指す。若手メカニックには「万が一失敗しても逃げずに正面から向き合い、次の成長につなげてほしい」とエールを送る。
課題克服は自分の成長につながる
関村さんは在学中に国家1級整備士の資格を取得した。就職先を選ぶポイントは「整備士も接客ができる会社」だった。「入社後、国家1級整備士の資格手当が増額された」と笑顔で語る。特定整備制度の導入が決まるや否や、認証に必要な工具と設備、新しい法規やエーミングへの理解を深めるなど、向上心が高く努力を惜しまない、将来を期待される若手エンジニアだ。
コンクールでは課題の一つにロールプレイングがあった。「課題克服は自分の成長につながるはず」との思いに胸が高まったという。コンクールの出場を控え、接客時の問診と顧客への提案の仕方などを徹底的に叩き込んだ。
全国大会では、試験車をテストコースで走らせ、モニター上のデータを分析しながら異音などの不具合の原因を探った。「普段はめったに経験できない良い機会」と前向きにとらえた。
職場では大会出場後、難易度の高い整備を任されるようになった。「自動車の技術は日々進化し続けているので、自身の技術や知識を更新し続けたい」と意欲を燃やす。一方で「今の整備はアッセンブリ交換が増えているが、機械的な修理でももっと技術と知識を深め、経験を積みたい」との思いを胸に、ミッションやクラッチのオーバーホールなどの重整備にも挑む。
学生に対して「競技会では特性整備制度など、新しい法規の知識が必要だった。仕事の現場では勉強する時間が限られている。学生の皆さんは在学中に勉強できるので、有意義に活用してほしい」とアドバイスを送る。