端正な顔立ちと歯切れのよい話しぶりが印象的。メカニックとしての実力はもちろん、後進の指導にも熱心な頼れる先輩だ。周りからの厚い信頼を集める中心的な存在でもある。
板金塗装工場を経営する父親の背中を見て育った。大人になったら当然、工場を継ぐつもりでいた。だが父親はそれを認めなかった。そこには「家業を継ぐより、もっと大きな可能性に挑戦してほしい」と願う親心があった。
自動車大学校を卒業後、学校の紹介で県内大手の千葉トヨペットに入社した。新人時代は先輩たちの仕事ぶりに圧倒され、「自分が先輩と同じ年次になった時、ここまでレベルの高い仕事が出来るのだろうか」と感じた小沼さん。そこで出した答えは「もっと学ばなければ追いつけない」という前向きさだった。
今のポジションは6人いる現場スタッフの上から2番目。中堅として幅広い作業領域をこなす傍ら、後輩の指導にも余念がない。野田店には外国人スタッフもおり、一概に若手といっても教え方や受け止め方はそれぞれに千差万別だ。その日の作業予定を見ながら自分の仕事時間と後輩に充てる時間を頭で把握し、効率よく指導できるよう意識している。
小沼さんが日ごろから重視するのが「効果的な時間の管理」だ。「作業待ちのお客さまから時間をいただいている以上、約束の時間を守ることは当然なこと」だと考えるからだ。「少しでも早く、そして確実にお客さまにクルマをお返しする。そのためには自分一人だけではなく、工場全体が効率良く仕事を進めることが大事です」。落ち着いた表情で話す姿に次代を担う人材の期待が伝わる。