独学で勉強しながら国家1級整備士の資格を取得した。働きながら国家1級を目指すハードルは高く、合格までたどり着ける人は少ない。本人の強い意志、会社と家族の理解ある応援が難関突破を後押しした。
瀧村さんの1級挑戦は3年前から始まった。もともとクルマに興味があって整備士になったわけではない。そんな自分をクルマに精通した上司や先輩と比べた時、どこか気持ちで負けている気がした。「自分はほかの人より劣っている。だから人一倍努力しなければだめだ」。持ち前の負けん気が瀧村さんを1級取得に揺り動かした。
会社が主催する1級養成の勉強会で知識を磨き、自宅でも研鑽を欠かさなかった。すでにホンダサービスエンジニア1級の資格を持つとはいえ、国家1級の難しさは別物。合格まであともう僅かの悔しさを味わいながら、3度目の挑戦で昨年見事に夢を叶えた。
合格した瀧村さんをみんなが祝福した。「勉強会で仕事を抜けると周りに負担がかかる。なのにみんなに祝ってもらえて嬉しかった」。自宅でも奥さんと子どもが勉強に集中できる時間を作ってくれた。「会社のみなさんと家族の理解と協力のおかげです」と感謝する。
国家1級を取ったことで、ホンダのサービス技能修得制度の最上位資格である「ホンダマスターオブサービスジェネラリスト(HMSG)」の認定要件をすべて満たした。全国のホンダカーズ店でも一握りとされるHMSGの称号が年内中に与えられる予定だ。同社の次代を支える人材がまた1人、大きく飛躍しようとしている。